Lions Data Lab

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球速の出やすい球場・出にくい球場を数字で検証してみた(2023年版)

どうも、LDLです。

 

今回のテーマは以前お送りした「球場ごとの球速」ネタの最新バージョンです。前回の投稿ではNEXT BREAKを予告していましたが、昨年ほどしっかり試合や映像を観れておらず、データを眺めただけの無責任な記事を書くわけにもいかないということで、しばらくやってなかったネタを引っ張り出してきた形になります。

 

それではいってみましょう。

 

 

データ処理の考え方

データ処理の流れは、簡単にまとめると以下の通りです。

 

①2023年パリーグレギュラーシーズンにおいて、一定のイニング数を消化しかつ全ての本拠地で登板した投手を対象として、各球場における速球(フォーシームが基本、一部ツーシーム)の平均値を算出

②投手ごとに6球場の平均球速を算出し、球場ごとに平均球速で割ることで、「球速の出やすい球場・出にくい球場」をレーダーチャートで可視化

 

前述の通りこちらのネタは以前すでにお送りしたことがありますので、詳細についてはこちらをご覧ください。

lions-datalab.hatenablog.com

lions-datalab.hatenablog.com

 

分析結果

チーム別

では早速結果をお見せしましょう。

 

流れとしては前回を踏襲し、まずチームごとに一挙にお見せします。赤の破線で示した正六角形が基準値の1を表しており、これより大きい球場では相対的に球速が出ており、小さい球場では出ていないという見方になります。

西武

ソフトバンク

ロッテ

楽天

日本ハム

オリックス



いかがでしょうか。京セラDなんかはかなりピーキーな印象ですね。

 

西武は散々指摘されてきた日程の偏りのせいか、全球場で投げた対象投手はわずか5名となってしまいました。光成さんすら1球場足りてません。

 

その中で、今井さんは3/29の開幕戦@楽天モバイルで150台後半を何度か記録しましたが、彼の中では数字が出にくい球場だったのだから驚きです。スケールアップした今季の今井さんであれば、エスコンFなら大台の160も十分狙えそうです。

 

ただ、これだけですと選手ごとに形が違っていて"球場ごとの傾向"まではわかりませんので、対象となった47投手の平均値を同様にレーダーチャートにしてみます。

 

以前掲載したデータ(2020年シーズン)では

 

 ■球速がほぼそのまま出る球場;PayPayドーム、札幌ドーム

 ■球速がやや出にくい球場;メットライフ

 ■球速の出にくい球場;ZOZOマリン楽天生命パーク、京セラドーム大阪

 

と結論付けましたが、2023年シーズンは下記のような感じになりそうです。

 

 ■球速がほぼそのまま出る球場;PayPayドーム京セラドーム大阪

 ■球速がやや出にくい球場;ZOZOマリンエスコンF

 ■球速の出にくい球場;ベルーナドーム楽天モバイル

 

エスコンFと札ドは当然比べることはできませんので置いておくとしても、結構変わった印象です。このデータ処理の結果はサンプリングする投手にも依存する(仮に全投手をとったところで毎年変わってしまう)ので変わることはなにもおかしくはないのですが、京セラDの序列が一気に上がったのは興味深いですね。

 

傾向が変わらず数値の高いPayPayドームは相対的に数値が出やすく、数値の低い楽天モバイルは数値が出にくいというのは言い切って良いかもしれません。こちら、今オフにもネタにする予定なのでお楽しみに。

 

パリーグ全体

続いてパリーグ全体のランキングを見てみましょう。

全て表示するとだいぶ冗長なので、前回と同様にトップ10とワースト(という表現が適切かはわかりませんが)10をピックアップしたものが下表です。

 

いかがでしょうか?

 

こちらは前回も触れましたが、本拠地の方が投げ慣れていることで数値が高く出るといった傾向はなさそうです。むしろ前回と併せて眺めてみても、本拠地としているチームの投手は上位にも下位にもあまりいない印象です。

 

こうなると、球場ごとの特性以上に投手の調子の影響の方が大きいという可能性も出てきますね。本拠地は登板回数が多いので好不調の波が均される一方で、ビジターだと登板数がどうしても偏るので、たまたま好調時の登板が多かった球場は高く、不調時の登板が多かった球場は低くなるのではないか、ということです。このへんについても、再現性という観点でオフにチェックしてみようかと考えております。

 

一方で、明確な特性もあります。

 

これは前回も触れた通り、利き腕による差異です。さきほどの表の色をいったんまっさらにして、左腕のみ赤字にしたものが下表です。


ご覧の通り、PayPayドーム・ZOZOマリンエスコンFでは左腕が上位に多数ランクインする一方で下位には全くおらず、楽天モバイル京セラDでは逆の傾向が見てとれますね。2020年シーズンにおける分析と比較してZOZOマリンだけ傾向が逆転しており、ベルーナもやや変わっていますが、PayPayドーム・楽天モバイル京セラDは全く同じ傾向のままです。

 

このことからも、左腕にとって球速の出やすい球場・出にくい球場は存在するというのは断言しても良いかなと思います。原因についての考察は前回述べた通りです。

 

というわけで、さきほどお見せした平均値のレーダーチャートを左右分けてお見せして締めるとしましょう。左腕のチャートが、対象人数が少ないせいもありますが極端すぎて笑ってしまいました(笑

 

おわりに

 

いかがでしたでしょうか。

 

球場自体が異なるエスコンF・札ド以外は傾向が変わらないと思っていましたが、意外にもそうでもなく。前回データ整理してから3年も経ってますから、多少機器の仕様や設置状況が変わった可能性もあるかもしれません。

 

最近は佐々木朗希さん以外にも160キロを超える投手が珍しくなくなりつつありますが、これが純粋に投手のレベルアップによるものなのか、はたまた計測の仕方の違いによるものなのか、2024シーズンオフにはこの観点も加えて改めてデータ整理してみたいと思いますので、お楽しみに!

 

それでは。