Lions Data Lab

選手レビューや、一風変わったデータ分析の発信を目指しています(メニューバー工事中…)

【独断と偏見とデータで選ぶ】パ6球団のNEXT BREAK

こんにちは、LDLです。

 

オープン戦は大きなトラブルもなく無事に終わり、いよいよ待ちに待った開幕も目前ですね。

 

普段はお堅めの研究・分析系の記事をメインコンテンツに据えている当ブログですが、開幕前くらい浮ついた気分でこういうエンタメ系?の記事もアリかなということで、こんなテーマを選んでみました。書きかけの「広角打法って何ぞや・後編」はいったんお休みで、勢いで筆をとった次第です。

 

オープン戦の内容や昨季の成績に加えて、プレー映像もこの目で見て加味した、今季ブレイクが期待される若手選手をピックアップしてご紹介したいと思います。当ブログは言うまでもなくライオンズ贔屓ではありますが、今回はパ6球団すべてを対象とした記事なので、昨季の順位に沿ってご紹介していきます。

 

タイトル通り独断と偏見(と少しのデータ)を基準に選んでいるので、「自分ならこの選手がイチオシ!」とかいうのがあればぜひコメント欄やTwitterのリプライで教えてくださいね。

 

それではいってみましょう。

 

 

オリックス:山下 舜平大

 

まずはなんといってもこの人でしょう。

MLB挑戦も秒読みと目される大エース・山本由伸投手の後釜の最有力候補である山下舜平大投手です。1軍実績はほぼないにもかかわらず、WBC空けで実績十分の山本投手や宮城投手に代わり今季の開幕投手当確とも噂されている、期待の若手です。

youtu.be

百聞は一見にしかず。もはや動画だけで十分凄さは伝わると思いますが、一応データ系ブログなので、オープン戦の成績やいつもの投球分布図も見てみましょう。

 

【OP戦成績】

投球回 :15.1

被安打 :8

本塁打:2

与四球 :1

奪三振 :23

自責点 :4

防御率 :2.35

K/BB  :23.0

WHIP   :0.59

 

【投球分布図】

 

最大の武器は160km/hに迫るストレートで、それも数値だけの見掛け倒しではなく空振りをバンバン奪えるキレを備えていることもグラフから見てとれます。この自慢の速球を軸として、落差のあるフォークと緩急自在のカーブを190cmもの長身から投げ下ろす姿はかつての鷹の絶対的エース・斉藤和巳氏を彷彿とさせますね。

 

さらにこの手の恵体速球派にありがちなノーコンということも全くなく、15イニングで与四球わずか1と制球に一切不安がないのも強みですね。見ての通りビタビタな制球力というタイプでこそありませんが、この球威・キレがあれば下手にコースを突くよりも思い切り腕を振ってゾーンに投げこむだけで力で押し切れると思います。

 

強いて不安点を挙げるのであれば、フライアウトが多く、被本塁打2という点でしょうか。これだけ圧倒的なスタッツながら防御率が2点台というのは、恐らく速球の質やフォーク・カーブという持ち球ゆえ長打を浴びやすいのが原因と推察されます。ボールのレベルが高くとも、球種が少ないとヤマを張られやすいですしね。とはいえ昨季のファームでの被本塁打はわずか1なので杞憂かもしれませんが、指標のわりに防御率が良くない(3.31)のもそのあたりが多少影響していそうです。

 

いやはや、不安視されているポスト山本由伸がこんなに早く出てくるなんて羨ましい限りですね。オリックスの投手育成力は感服するばかりです。とはいえまだ二十歳なので末恐ろしい反面現時点での過度な期待は禁物ですが、シーズン通してパフォーマンスを維持できる体力があれば新人王の有力候補ですね。

 

ソフトバンク:大津 亮介

 

二人目は大津亮介投手です。

youtu.be

 

【OP戦成績】

投球回 :4.2

被安打 :2

本塁打:0

与四球 :0

奪三振 :2

自責点 :0

防御率 :0

K/BB  :- ※分母が0のため

WHIP   :0.43

 

【投球分布図】

昨年のドラフト会議にて2位の高評価で指名された大津投手は、オリ山下投手とは対照的に7色の変化球を自在に操る技巧派右腕です。

 

フォーシームの割合は4割程度と抑えめで、代わりにダルさんが使い始めて知名度を上げたワンシーム(グラフ内では☆特殊球・赤枠)やスラ・カッターをメインウェポンとして変化球を駆使するスタイル。大きく曲げたり落としたりという派手なスタイルではなく、変化を細かく調整して打たせて取るタイプのようですね。そうやって上手く芯を外させたゴロアウトが多いのもグラフから見てとれます。

 

さらに、そういった細かくニュアンスの異なるボールを打者の左右を問わず大怪我しないアウトローに集めている(青枠)のも、安定した成績を残すうえで重要なスキルです。3/15のファーム阪神戦で3イニングを投げて打ち込まれたこともありリリーフでの起用が濃厚ですが、阪神戦の3イニングを含めても7.2イニングで奪三振はわずか2と三振を奪えるタイプではないですし、一方で引き出しは多そうな投手なので先発の方がフィットしそうな気がします。

 

補強組の先発候補である有原・ガンケル両投手が出遅れ気味なので、早いうちにチャンスを与えてあげてほしいですね。

 

西武:佐藤 隼輔

 

3人目はいよいよ我らがライオンズの番です。

 

正直推したい選手はたくさんいるのですが、ここだけ贔屓してダラダラ書くわけにもいかないので、あえてこの投手に絞ります。2021年ドラフト2位、佐藤隼輔投手です。

youtu.be

 

【OP戦成績】

投球回 :5

被安打 :3

本塁打:0

与四球 :2

奪三振 :5

自責点 :1

防御率 :1.80

K/BB  :2.5

WHIP   :1.0

 

【投球分布図】

昨季終盤あたりからのリリーフ起用が奏功したのか、元々定評のあったストレートにさらに磨きがかかり、常時150km/h程度と球速アップに加えてバンバン空振りを奪える絶対的なボールへと進化(赤枠)。フォーム的な観点だと、昨季と比べてほんのわずかですがリリースまでの間が取れて右足の着地を我慢できているように見えるので、そこが球速アップにつながったのかもしれません。

 

OP戦ではイニングと同数の5三振を奪い、うち4つをストレートで決めるなど最初から最後まで押し切れるだけの威力が備わりました。一方で変化球はほとんど投げていないので未知数ですが、映像を見た限りでは曲がりの大きなスライダーも十分実戦レベルに見えますし、分布図でもそこまで抜けることなく制球できている(青枠)のがわかりますね。

 

右打者には被安打0で、高めのストレートと膝元のスライダーのシンプルなコンビネーションだけでも十分通用するでしょう。一方で、昨季被打率3割と苦戦した左打者には3安打を許してしまっており、うち2安打は浮いた変化球なので、変化球の制球でもうワンランクレベルアップしたいところです。スライダーかチェンジアップ、いずれか1球種でも決め球クラスまで仕上げることができれば、先発転向した平良投手に代わる勝ちパターン入りも狙えるはず。

 

昨季はチーム防御率1位とかなり整備されてきた西武投手陣ですが、左のリリーフではまだ絶対的な存在がいませんので、そこに割って入れればさらに盤石となります。同期の隅田投手とともに飛躍の1年にしてほしいですね。

 

楽天:黒川 史陽

 

ここで唯一の野手のご紹介になります。

楽天期待の高卒4年目、黒川史陽選手です。

youtu.be

【OP戦成績】

34打数 11安打 2打点 3四球 0本塁打 4三振 0盗塁

打率:.324 長打率:.382 出塁率:.378 OPS:.760

 

【打撃内容】

黒川選手は、2021年4月17日の楽天vs日本ハム@東京ドームをたまたま観ていたときに目に留まった選手で、日本ハムの右のエースである上沢投手を相手に、チャンスで10球粘った末にセンター前にタイムリーを放った打席が強烈に印象に残っています。その試合では、結局上沢投手から唯一の打点を挙げたのが彼であり、それが高卒2年目というのだから舌を巻きました。

 

とにかくセンターから逆方向に打つのが上手く、昨季の1軍公式戦における安打の半数がレフト方向で、このOP戦でも同様の傾向が見てとれます。それも、対右投手において安打の半数以上が内角であり、逆方向に打っている(赤枠)のだから興味深いですね。外角を無理やり引っ張る打者は枚挙に暇がありませんが、逆は珍しい特徴で、引き付けて打てる高い技術とセンスを持っているのでしょう。

 

昨季は主にファームで試合に出ていましたが、打率.262に6本塁打とまずまずで、このOP戦でも上記の通り十分な成果を残せており、起用する価値は十分ある選手です。ただ、本職である二塁は浅村選手という大きな壁が立ちはだかり、サブポジになりうる一三塁も含め内野は激戦区です。おまけに左打者も飽和気味なので出番は限られると思いますが、今年こそチャンスを掴んでほしいですね。

 

ロッテ:小沼 健太

 

続いては、昨季支配下登録を勝ち取ったロッテの小沼投手です。

youtu.be

【OP戦成績】

投球回 :4

被安打 :4

本塁打:1

与四球 :1

奪三振 :2

自責点 :2

防御率 :4.50

K/BB  :2.0

WHIP   :1.25

 

【投球分布図】

OP戦の成績だけを見ると全くパッとしないですし、昨季は1軍・ファームともに防御率6点オーバーと正直ボロボロです。それこそ、注目株の中森投手(昨季ファーム防御率0.90、OP戦4回無失点)の足元にも及びません。

 

それでもあえて名前を挙げたのは、決め球であるフォークに大きな可能性を感じたからです。動画の0:35あたりのフォークの落差は千賀投手の「お化けフォーク」にも引けをとりません。

 

さらに投球分布図を見てみると、リリーフゆえにサンプルこそ少ないものの真ん中低めのボールゾーンにキレイに落として空振りを量産してる(赤枠)んですよね。落差があるので、打者からすれば「甘いど真ん中きた!もらった!」と思ったら空振りしているわけです。これがコンスタントに投げられるのであれば、大きな強みになります。

 

一方で、やや体の開きが早くストレートがシュート回転していて150km/hという数字ほどの威力を感じない(OP戦でも空振りゼロ)ので、決め球のフォークを活かすためにもそこが改善点でしょうか。ただ体重移動は元々悪くないと思いますので、開きを改善できればイメージ的にはかつて広島でクローザーとして活躍した永川勝浩氏のような投手になれるポテンシャルを秘めていると思います。

 

日本ハム:金村 尚真

 

最後は、昨年のドラフト2位で、西武ゆかりの富士大卒のルーキー・金村投手です。

Twitterでドラフト有力候補として真っ先にご紹介した投手で、現時点で新人王の最有力候補だと思っています。残っていたらぜひ指名してほしかったのですが、野手の補強が急務の中で1位を使えない事情は理解しているので、こればかりは仕方ないですね…。

 

youtu.be

 

【OP戦成績】

投球回 :15

被安打 :7

本塁打:1

与四球 :3

奪三振 :14

自責点 :2

防御率 :1.20

K/BB  :4.67

WHIP   :0.67

 

【投球分布図】

成績については、被安打や与四球は少ない一方でイニングとほぼ同等の奪三振を稼ぎ、K/BB、WHIPともに高水準でオリ山下投手に引けを取りません。

 

次に投球分布図ですが、球種の多彩さとどれでも空振りを奪えるキレが目を引きますね。これだけキレがあればコースビタビタである必要性は下がりますから、対左は広くゾーンを使えて的を絞らせない投球ができます。一方で対右では外角に集めて引っかけさせることで、遊ゴロを量産している(赤枠)のも特筆すべき点です。対左だと逆で一、二ゴロも多いですね。

 

先発での起用が予想されますが、先発は球数を減らしてできるだけ長いイニングを投げることが求められますので、狙って遊ゴロをはじめ内野ゴロを打たせることができれば必然的に併殺も増えますから、非常に重要な投球術です。事実、動画のヤクルト戦では6回をわずか68球で片付けており、その実戦力の高さが窺えますね。

 

さらに見逃せないのが、高めのストレートと低めの変化球で三振を取っている(青枠)点です。三振といっても色々あって、高さやコース関係なくキレやスピードで押し込んだものもあれば、甘いところでも緩急をつけることで空振りを誘うものもありますよね。しかし、金村投手の場合は高い制球力によりきっちりと決め球のコースと高さを間違えず、ストレートは高め、変化球は低めの狙ったところに投げて教科書通りの三振を奪っているのがわかりますね。ゴロも三振も狙って奪える、ドラフト上位指名に相応しい恐ろしくクレバーな投手に見えます。

 

それを可能にしているのが、西武ファン的に「僕はやっぱり摂津さん」でおなじみの元ソフトバンクの精密機械・摂津正氏を彷彿とさせる特徴的な小さいテークバックだと思います。昨季大ブレイクして侍JAPANにまで上り詰めた中日・髙橋宏斗投手のように、小さいフォームでも力をしっかり伝えられれば球威は落ちませんし、フォームが小さければ当然再現性が上がり、制球力アップにつながります。

 

おわりに

 

いかがでしたでしょうか。

 

私のメインツールであるTwitterの文字数制限から解放されたせいで、少々長文になってしまいました(笑

 

最後まで読んでいただいた方、ありがとうございます!

 

言うまでもなく私は埼玉西武ライオンズの優勝が見たいので、他球団の選手にはなるべく大人しくしていてほしいのが本心ではありますが、先日日本の優勝奪還で幕を閉じたWBCにて、普段敵対している様々なチームの主力選手が力を合わせて栄光を掴みとる瞬間を見てしまうと、どこかその成長に楽しみというか、ワクワク感を覚えてしまうんですよね。

 

WBCで大活躍した大谷選手や吉田選手はいずれもパリーグ出身ですし、西武も散々痛い目にあわされてきたのはご存じの通り。でも彼らのような世界に通用する強打者を抑えるべく努力してきたことで、西武投手陣は(暫定ですが)パリーグナンバーワンへと進化を遂げました。

 

月並みですが、パの強さの原点は互いに切磋琢磨できるハイレベルな環境にあると思います。今後もお互いを高め合い、願わくば最後は西武が優勝して、3年後に源田選手や山川選手に続く選手を世界一の戦いに送り出してくれたらと思います。

 

今回は以上です。

次回は、元々こちらより先にアップする予定だった広角打法考察の後編を予定しておりますので、ぜひそちらもチェックしていただけると嬉しいです。

 

それではまた!